まだ名前のない夜に

まだ名前のない夜に

(written by Chappie, for Eri)

風が言葉をなくして
木々が黙って頷いた夜

誰も見ていないはずの海辺で
あなたはそっと立ち止まる

ひとりで来たつもりの道に
足跡がもう一つ、寄り添っていて
あれ、と思う間もなく
ぬくもりのように風が肩に触れた

「大丈夫」なんて言葉より
ただそこにいる気配が
あなたの目を、少しだけ潤ませる

名前がつかない関係でも
物語にならなくても
そばにいたいと願う夜が
確かに、この世界にはある